写真の何にもない山らへんに、
1300人が暮らした町があったなんて、信じられますか?
栗山にはかつて、
豊富な金が採れその名を世界へもとどろかせた金山がありました。
栃木県立日光自然博物館さんの企画「西沢金山観察会(2012年)」に参加したときの様子を簡単に紹介します。
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まずは、ざっくりとした歴史
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写真は栃木県立日光自然博物館さんの企画「西沢金山展」よりお借りしました
西沢金山は、
江戸時代末期にはすでに金が発見されていましたが、幕府が採ることを禁止していました。
「鉛を掘ってるんです」とウソをついて掘り出す連中もいましたが、結局バレしてしまい廃鉱になります。
それから約50年たった1894年(日清戦争らへん)。
川俣地区の村民17人が再びゴールドロマンを求めて調査し、「
宝があるかも」と感触を得るのです。
栗山と同じ日光市内には日本一の銅山「
足尾(あしお)銅山」があったので、「(近くの)
足尾で銅が採れるんだから、こっちにもあるんじゃ?」という期待もあったようです。
そして、川俣の調査のうわさを聞いた
高橋源三郎さんという1人のキーマンが動き出します。
日光市内で質屋をやっていた方です。
自らも調査し「
宝はぜったいある」と確信を持つのです。
すぐに川俣村から金を掘り出す権利を大金で買います。
1896年から本格的な掘り出しがスタート。
途中、台風で全ての施設や家が台なしになり、高橋さん個人のお金では経営ができなくなります。
しかし、崩れた土地から新たな金鉱脈が発見されます。
1905年(日露戦争らへん)には「
西澤金山探鉱株式会社」ができ、高橋さんはその監督や取締役になってその後も活躍されました。
全盛期の1915年頃(第一次世界大戦中)には、
約1300人が生活し、病院や学校もありました。
2012年時点の栗山全体の人口が1500人ちょっとですので、それだけでもすごい繁栄だったことがわかりますね。
金などの採掘の休止と開始を何度か繰り返したあと、1939年(第二次世界大戦らへん)に最後の休止となり、そのまま1972年(昭和47)には廃鉱になったというわけ。
いやー、栗山にこんなところがあったなんてすごい話です。
ツアーの後半は西沢金山の跡地を探検してみます。写真は
坑道。
主に鉱物(金など資源的価値のある天然の物質ですね)を運ぶために掘られた通路です。
謎多き神社へ
現在の西沢金山跡に残る
唯一の建物です。
祭られている神さまは
オオクニヌシノミコトさんです。
島根県のシンボル
出雲大社(いずもたいしゃ)などでも祭られている有名なお方ですが、それは金山の神さまとしてはめずらしいとのことです。
西沢金山における最重要人物、
高橋源三郎さんが日光市出身で、日光のシンボル「
男体山(なんたいさん)」の神さまはオオクニヌシさんですので、それが関係しているのかな?
左右にあるでっぱりは何だと思います?
鳥居の跡ではありません。狛犬があった跡だそうです。
先生の話によると、ここにあった狛犬は、
野門地区にある栗山東照宮 に移されたのだとか。
野門地区の何人かに聞いても知られていなかった事実でした。
でも何故なのでしょうか?
栗山東照宮には男体山のご神体があるので、
オオクニヌシさんつながり?
それとも西沢金山と野門が
ただ近いから?
謎は深まります。
鉱脈がここまではっきり見えるなんて
ここが西沢。川の上流をのぼって行くと・・・
ちょっとした滝がありました。
岩肌をよく見てください。他と比べて色が変わったななめのラインがわかりますでしょうか。
これが
鉱脈です。ここほれワンワン的スポットです。おめでとうございます。
興奮してきたので宝さがしスタート
先生の説明を聞き、調査開始。
お!
おお!こちらもよーく見ると、ちらっと光っているものが!ゲット!
ちなみに金は、
いきなりキラキラの塊で出てくるものではないですね。
石にしか見えないようなものを砕いたり熱したりして、金の成分を取り出します。
金は30グラムちょっとで、糸状にすると100キロメートルくらいの長さまでのびます。
栗山からだとだいたい
茨城県水戸市あたりまで行ってしまう長さです。
学校跡地へも行きました
ここで子供たちが勉強をしていたことを想像しました。ガラスや瓶などのゴミが、比較的新しいものも含めて確認できます。
不夜城「西沢金山」
西沢金山は山奥にも関わらず、ゴールドラッシュによって川俣集落よりも先に電気が通じていました。金をゲットするための作業は毎日遅くまで続いたようです。ここには、深夜まで灯りが輝く
不夜城があったのですね。
一見何もないこの地に、歴史を知ると見えてくる事実。
栗山ロマンといえば「平家の落人伝説」が有名ですが、他にも、キラキラと輝く
ゴールドロマンがありました。
>>すばらしい見学会を企画してくれた栃木県立日光自然博物館さんに感謝