2016年2月20日(土)「世界遺産 NIKKO+1グローバル時代のツーリズム」と題して日光田母沢御用邸(たもざわごようてい)でシンポジウムが開催されました。県内・宇都宮大学の留学生は日光市をどう感じたのか、貴重な意見を聞けたのでレポートします。
<参考>【世界遺産 NIKKO+1】日光市は外国人の目にどう映るのか?留学生たちから学ぶ7つの気づき
1.世界各地の観光地と比べると日光市ってどうなの?
今回のイベントに参加した留学生たちは様々な目線で日光市について発表しました。まずは、母国の観光地と日光市を比べた発表を紹介します。
(1)日月潭(にちげつたん)と中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)
まずは日本で1番標高の高い所に位置する湖、中禅寺湖と台湾で1番大きな湖の日月潭の比較です。
中禅寺湖では花火や紅葉、カマクラまつりなど日本の四季を活かしたイベントが多いです。どの季節に訪れても楽しめるのは大切な魅力ですよね。
日月潭ではカヌーや遠泳大会などのアウトドアスポーツが行なわれているそうです。写真を見ましたが、ジブリの「もののけ姫」を思い出すような大自然に囲まれた湖でした。
湖1つ見ても観光資源としての活かし方がまったく違います。もしかして両方の良い所を活かせば…発想はどんどん広がっていきます。
(2)湯西川水の郷(さと)と礁渓(しょうけい)温泉
続いて栗山の湯西川水の郷と台湾では数少ない平地部にある礁渓温泉の比較です。どちらも温泉はありますが、中でも足湯の活用方法がまったく違って面白かったので紹介します。
湯西川水の郷にある足湯は屋外にあり、山や川、大吊橋などの壮大な景色をみながら足湯につかることができます。留学生が湯西川に訪れた時は10月だったので山一面の紅葉を満喫していました。
一方、礁渓温泉では、足湯でドクターフィッシュ(足の角質を食べてくれる魚)を飼育しているそうです。さらに、カウンターを設けて足湯につかりながらラーメンを食べるのがツウの楽しみなんだとか。
山VS平地みたいな対決になっていますが、足湯1つで可能性は無限大!いつか栗山でも足湯につかりながらラーメンを食べつつ紅葉を見てみたいものです。
(3)少林寺と日光東照宮
マイフレンド孫(そん)くんは日光市とちょー有名な中国の少林寺の違い、共通点を発表しました。どんな内容かというと
①少林寺と日光東照宮の建造物はとてもよく似ている
②少林寺周辺は見所が凝縮されているが、日光市は範囲が広くバスなどの移動が欠かせない
③日光市の方が空気が綺麗でおいしい
ふむふむ、見所が凝縮されていると短い時間で色々見れる。範囲が広いと移動しながらたくさんの景色を見ることができる。どちらもステキな旅になりそうです。両方の魅力を目一杯発表する孫くんはもちろんかっこよかったです。
2.良い所たくさん!でもそれだけじゃないデス。課題をいくつか
広い日光市をくまなく周った留学生ですが、不便に感じることもあったそうです。ちょっと耳が痛くなる話かもしれませんが、日本人の「あたりまえ」を壊してもらいましょう。
(1)着物の着付け体験や手工芸品の体験をしてみたい
「せっかく観光地に来たのだからそこでしかできない体験をしてみたい」という声もありました。素敵な宿に泊まって四季折々の季節を楽しむのも旅行には欠かせません。でも、それだけでなく地元の人との交流も旅の醍醐味です。
「外国人が栗山に来たら…」想像すると体験してもらいたいこと、紹介したい人、たくさんいます。観光と交流、一緒に体験できる機会があればもっともっと日光市は楽しくなりそうです。
(2)日本語以外の説明
特に歴史に関するものや施設の説明などは難しい言葉をたくさん使うので、日本語だけだとわかりづらいようです。ご当地のおみやげもどうしてそこで売られているのかの意味がわからなかったみたいです。
毎回ガイドさんを呼ぶのは大変なのでちょっとした外国語の説明文を用意するだけでもわかりやすくなるかもしれませんね。
(3)日本語しか通じない
日光市にはたくさんの見所や楽しめる施設がありますが、日本語以外の言葉が通じないことが多く困ったそうです。今回は、日本に住んでいる留学生が訪れたので日本や日本語に理解がありましたが、海外から来た旅行者はちょっと不便に感じてしまうかもしれません。
ちょうど今、日光商工会議所さんが言葉が通じなくても外国人との意思疎通が簡単にできる指差し会話シートを作成中です。近日、指差し会話シートの利用方法のセミナーが開催される予定なので、実際の使用方法や想定される場面などもお伝えできれば、と思います。
3.留学生との意見交換「授業と一緒だよ!さあ、みんなどう思う?」
留学生によるプレゼンテーションの後には参加者と留学生の意見交換が行なわれました。1番興味深かったのは「旅館に宿泊する時は1泊2食付きが普通なの?」という話題。
最近では素泊まりを提供する所も多いですが、日本では1泊2食付きがまだまだスタンダードです。
「旅館の料理を楽しみたい」、「夕食は自分で好きなレストランを選びたい」意見は様々ですが、外国人を受け入れることは今まで以上に様々なスタイルの旅行者を受け入れる、ということです。
ゲストハウスのような素泊まりメインの宿泊も今後はもっと需要が高まりそうです。
4.世界はやっぱり広い
「外国人」とひとくくりにしてしまいがちですが、それぞれの国に文化があって言語があります。言葉が通じなくてもお互いの文化をわかちあえば、旅行者と地元の方の交流ももっと楽しくなると思います。
「外国人だから」とかまえず、日光市に来てくれた1人の旅行者として「ようこそ、日光へ」「ようこそ、栗山へ」と笑顔で言える、そんな観光地を目指していきたいです。