平家大祭を楽しむための予習シリーズ。今回は清盛さんの父、忠盛(ただもり)さん編です。
1.武士ではじめて殿上人になった忠盛さん
貴族の住まいである御殿(ごてん)にあがることを許された人を殿上人(てんじょうびと)といいます。忠盛さんは、武士としてはじめて殿上人になった人です。
前回紹介した息子の清盛さんは、さらに上の位である太政大臣(だいじょうだいじん)になっていますが、その土台を築いたのは忠盛さんといえます。
平家はもともとは天皇の子孫ですが、都でダメダメで地方へ都落ち(逃亡)しました。落ちこぼた状態から力をつけて都に戻り、忠盛さんの代で御殿にあがるまでの大復活をとげたのです。忠盛さんの貢献は計り知れません。
2.「王家の犬」にどうしてもなりたくなかった忠盛さん
平家が黄金時代を築いてから滅ぶ悲劇までを書いた「平家物語」に「殿上闇討(でんじょうやみうち)」 という話があります。
武士の身分で殿上人になった忠盛さんは、アンチ忠盛派にねたまれてしまいました。アンチ派は「奴をぶっつぶそうぜ」という作戦をたくらみ、それを知った忠盛さんは、刀を持ち込み絶対NGの御殿を刀をぬいて通ります。
丸腰(刀なし)で襲われたらやられちゃうのだからしゃあないのですが、アンチは天皇にチクります「忠盛はルール違反なんでこらしめてください」。
天皇は忠盛さんに「まじかよ?」と訪ねますが、そこで忠盛さんの一言。 「ノープロブレム! あれは竹に銀ぱくをぬったもので、刀じゃない。」
さすが忠盛さん、みごとなはったりです。ちなみに、大河ドラマ「清盛」でもこのシーンは見事でした。俳優 中井貴一さんの迫力ある演技と「王家の犬にはなりたくないのだ」のセリフにはしびれました。
3 貿易で大富豪になった忠盛さん
当時、日本は宋(中国)と貿易をしていました。最初は朝廷(天皇を中心とした政府)のための貿易でしたが、朝廷のお財布事情が苦しくなると、民間の金持ちたちが朝廷に内緒で貿易をするようになりました(密貿易)。
この密貿易でも忠盛さんが活躍します。寺や神社などの金持ちのライバルも多い中で、周りの連中を出しぬくことを考えます。
忠盛さんは、「稀少性」に目をつけ、ゲットした珍しいもの(陶磁器や絵画など)を朝廷に貢ぐ作戦を実行しました。結果、朝廷にかなり気に入ってもらい、国司(今でいう県知事)を任されることになります。
国司はある程度の税金を納めれば、自分の国に税金をかけるなどして収入を得ることができたので、そこから大富豪への突破口を開いていったとう話です。
<おまけ>おもしろくてためになる参考文献
今回の記事はこちらの本を参考にしました。