<目次> 川俣に元服式あり!
1. 元服式って何?
元服式(げんぷくしき)は、いわゆる川俣(かわまた)地区版の成人式です。元服した男子(数え二十歳、今でいう高校3年生)が、成人した大人として認められ、川俣に住む親以外の男性と、親分・子分という親子関係を結びます。この伝統は江戸時代から続き、国の重要無形民族文化財に指定されています。
なぜ、親分・子分なんて制度があると思いますか?それは山奥の小さな集落で、血縁関係を補うためです。昔の人が考えた知恵なのです。昔は、親分が子分に名前を与えたことから、名付け式ともいいます。親分は子分をずっと面倒を見ることになり、また子分も親分の葬式などで重要な役目を担当します。それほど、親分・子分の関係は深いのです。
2. 元服式の流れ
2012年の元服式。当日のおおまかな流れを紹介します。
(1)山神さまの当渡し(祭り当番の引き継ぎ式)
山の神さまの前で行います。
(2)メイン
親分夫婦と子分で盃(さかずき)をかわします。その後、オツレと呼ぶ付き人が切り分けた生の川魚を食べあい、“血肉を分けた関係”となります。お酌をする子供たちはオチョウ(男)、メチョウ(女)と呼びます。
歌あり。ごちそうあり。ごちそうには意味があります。カズノコ 子孫繁栄、サクラエビ 長寿、ワカサギ 若さ、タコ 忍耐、コブマキ 結束、キンピラ 紅白(祝い)、マメ 健康。
(3)郷土芸能 三番叟(さんばそう)、恵比寿大黒舞
村の若い衆が踊ります。三番叟は、日本の古典演芸“能”の翁(おきな)という演目で、3番目の老人の舞。恵比寿大黒舞は、福を招く踊りです。
(4)夜までずっと宴じゃ
女性の方たちが中心となってつくる美味しいごちそうが次々と。
3. 主役をサポートする人たちの活躍
あたりまえですが、りっぱなのは親分・子分だけではありません。サポーターもすごい。例えば、オチョウ、メチョウ、オツレも覚える作業が多く大変なはずですが、厳粛な空気の中、丁寧に自分の役割をこなしていました。
また女性チーム。みんなが美味しいごちそうを食べられるように、式の前日や、当日も早朝から大勢で大忙しで準備します。男たちが飲み食いする料理やお酒の量はハンパないですが、女性チームのパワーはそれ以上です。村の一体感を強く感じた1日でした。
4. (おまけ) その他聞いたこと
(1)親分の決め方
どうやって決めると思いますか?私は、村の会議で決めるかと思っていましたが、違いました。子分から「この方に親分になってもらいたい」と指名するそうです。もちろん、それは子分が小さい頃からお世話になっている方だったり、家族と相談しながら決めるたりするのでしょうが、子が親を選ぶとはかっこいいなと思いました。親分も誇りに思えるでしょう。
(2)一般的な成人式には参加するのか?
確認したら、するそうです。つまり川俣の男性は、成人式が2回あるともいえます。お得というか、大変というか。その分だけ大人になることは間違いなさそうです。
川俣 元服式 5秒コメント
実は元服式は一般の方も見学できます。
開催が決定した際は、このサイトでもお知らせしますね